




名前 | フクサイト/FUCHSITE/含クロム白雲母 |
色 | 緑色 |
光沢 | 真珠光沢 |
蛍光 | なし |
劈開 | 完全 |
断口 | 不規則 |
硬度 | 2.5-3 |
比重 | 2.9 |
主な産地 | イタリア、オーストリア、ロシア |

コールス先生!このキラキラの緑のかけら、なんか“紙”みたいに薄いよ!?



それは“フクサイト”という鉱物なんだ。日本語では“含クロム白雲母(がんクロムはくうんも)”とも言うよ。



白雲母……って、マイカの仲間!? でも緑ってめずらしい〜!



よく気づいたね。白雲母グループの中でも、クロム(Cr)が入ってることでこんな鮮やかな緑になるんだよ。
1章:フクサイトってどんな鉱物?



フクサイト(Fuchsite)は、白雲母(マスコバイト)グループに属する雲母の一種。クロム(Cr³⁺)がアルミニウムの一部を置き換えることで、特徴的な緑色を帯びます。
🔹 基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
鉱物名 | フクサイト(Fuchsite) |
和名 | 含クロム白雲母 |
化学式 | K(Al,Cr)₂(AlSi₃O₁₀)(OH)₂ |
結晶系 | 単斜晶系 |
色 | 鮮やかなエメラルドグリーン |
モース硬度 | 2.5~3(非常に柔らかい) |
劈開 | 一方向に完全(薄くはがれる) |
光沢 | 真珠光沢、絹糸光沢 |
条痕 | 白色 |



キラッキラだけどやわらかいんだ〜!雲母って爪でも削れそうな感じだよね。



そう、爪でも傷がつく柔らかさ。でもこのフクサイトの緑色は、クロムならではの特別な色なんだ。
2章:名前の由来と歴史



フクサイトの名は、ドイツの鉱物学者 Johann Nepomuk von Fuchs(ヨハン・フックス)にちなんで名付けられました。
- 発見:19世紀初頭
- 名称確立:1830年代
- フックスはバイエルン地方の鉱物学に多大な貢献をした人物



おぉ、科学者の名前がそのまま使われてるパターン!博士たちのレジェンド感すごい!



鉱物の世界では、功績のある学者や発見者の名前がつくことがよくあるんだよ。
3章:どうやってできるの?生成環境のひみつ



フクサイトは、クロムを含んだ変成岩中に生成されます。主に次のような環境がポイント:
- 超苦鉄質岩(かんらん岩・蛇紋岩など)が変成作用を受ける
- クロムが豊富な環境で雲母が形成される
- 他のクロム鉱物(クロム鉄鉱など)との共生も見られる
よく見られる共生鉱物
- カイヤナイト(藍晶石)
- クォーツ(水晶)
- ルビー(クロムがあるため一緒に出やすい)



ルビーと一緒に出てくるなんて豪華すぎる〜!



フクサイトは、ルビーやエメラルドと同じ“クロム由来の色”を持っているんだよ。






4章:どこで採れるの?世界の産地
フクサイトは各地のクロム含有変成帯で見られますが、特に有名な産地はこちら!
地域 | 特徴 |
---|---|
ロシア(ウラル山脈) | 美しいエメラルドグリーンが特徴 |
インド(カルナータカ州) | 翡翠のような見た目、研磨材にも |
ブラジル | 蛇紋岩中に含まれ、美石も多い |
アメリカ(カリフォルニア州) | 観賞用結晶として人気 |
マダガスカル | 原石・研磨品どちらも産出 |



やっぱりインドとかブラジルは石の宝庫だねぇ…!



そうだね。フクサイトも産地によって緑の色味や結晶の形が違っておもしろいんだ。
5章:観賞用・パワーストーンとしての人気



フクサイトはパワーストーンやヒーリングストーンとしても人気があります。
💚 魅力ポイント
- 美しい緑の光沢
- 心を落ち着かせる効果(とされる)
- アベンチュリンとの共生石(グリーンアベンチュリン)
🔮 よく一緒に使われる石
- ルビー in フクサイト:ルビーの赤とフクサイトの緑のコントラストが美しい
- アベンチュリン:フクサイトの微結晶を含んだ緑色の石英



アベンチュリンのキラキラって、フクサイトだったの!? それめっちゃオシャレじゃん!



そう。アベンチュリンの“アベンチュレッセンス”は、フクサイトやヘマタイトなどの微粒子が光を反射することで生まれるんだ。


6章:鉱物コレクション・標本としての魅力
- 極薄で剥がれる特性が面白い
- 結晶がきれいに見える標本も多い
- 他鉱物との共生も見どころ
- 偽装品(着色雲母)と見分けるポイントも大事!
🧐 見分け方のヒント
本物のフクサイト | 偽物(着色雲母など) |
---|---|
クロム由来の自然な緑色 | 塗料や染料で着色された人工感 |
薄く剥がれやすい | 表面がべたっとした加工感 |
産地情報がある | 情報が曖昧、価格が極端に安い |
7章:暮らしの中での応用はある?



フクサイト自体は工業的利用は少ないですが、雲母グループとしての利用は多数あります。
雲母の応用例:
- 電気絶縁材(板状に剥がれる特性を活用)
- 耐熱ガラス・断熱材
- コスメ(ラメの原料)



え!アイシャドウのキラキラって鉱物なの!?



そうなんだ。天然雲母が粉砕されてラメになることもあるんだよ。
🎇まとめ:フクサイトは“緑のささやき”
フクサイトは目立つ鉱物ではないかもしれないけど、その色合いと質感、そして成り立ちはとても奥深い魅力を秘めています。



見た目のきれいさだけじゃなくて、“何が入ってどうできたか”まで知ると、もっと好きになる〜!



その通り。鉱物は“色”が語る化学のメッセージなんだ。フクサイトは“クロムのささやき”だね。



