鉱物種 | パール(真珠) |
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化学組成 | CaCO3 |
屈折率 | 1.530-1.685 |
モース硬度 | 2 1/2-4 |
結晶系 | 直方晶系 |
晶癖 | – |
比重 | 2.7 |
光沢 | 真珠 |
劈開 | なし |
現象 | オリエント効果(真珠効果) |
主な産地 | 日本、アメリカ、ミャンマー、オーストラリア |
真珠の魅力
真珠の魅力は、その自然の美しさと希少性にあります。真珠は、以下の特性により、多くの人々に愛されています。
- 光沢と輝き
真珠は、その表面に反射する光が特有の輝きを生み出します。これを「オーバートーン」と呼び、真珠に独特の深みを与えます。 - 色合いの多様性
真珠にはさまざまな色合いがあり、白、クリーム、ピンク、ゴールド、ブラックなど、選択肢が豊富です。これにより、個々の好みに合わせたジュエリーを作ることができます。 - 歴史的な背景
真珠は古代から多くの文化で価値が高いとされてきました。古代エジプト、ローマ、中国などの文明では、真珠は富や地位の象徴とされていました。
真珠の特徴や取り扱いの注意点
真珠は、有機物宝石に分類されます。その特徴や、取り扱い方の注意点をみていきましょう。
有機物宝石とは?
ダイヤモンドやエメラルドなどほとんどの宝石は、鉱物などの無機物質から形成されています。モース硬度が高い宝石です。いっぽうの有機物宝石は、硬度が低いことが特徴的です。なぜなら、生物由来で生み出されたものだからです。動植物の器官や組織が変化したものや、生物の特性を利用して作り出します。
有機物宝石には、真珠やさんごの他に琥珀、象牙、べっ甲、アンモライトがあります。たとえば琥珀は樹脂の化石ですし、べっ甲はウミガメの甲羅が原料になっています。
有機物宝石を取り扱う際の注意点
有機物宝石は、無機物宝石と比べて硬度が低いです。そのため、表面に細かい傷がつきやすいです。また、汗や皮脂などの酸やアルカリにも溶けやすく、日光や照明などの紫外線や熱にも弱いといいます。
取り外したらまずは柔らかい布で汚れを拭き取り、直射日光を避けた涼しい場所で保管するようにしましょう。定期的に艶出しのメンテナンスもプロにお願いするとよいですよ。
真珠(パール)の種類と価値を決めるポイントとは?
人類と真珠の関わり合いは古く、旧約聖書や新約聖書、或いは古事記や日本書紀、万葉集などにも真珠に関しての記載が見られます。人類にとって真珠は最古の宝石であると言えます。養殖真珠については御木本幸吉による養殖真珠の発明が有名です。
真珠(パール)はカラーバリエーションが豊かで、粒の大きさも様々ですよね。真珠の種類や価値を決めるポイントをみていきましょう。
真珠(パール)の色彩の違い
真珠は、炭酸カルシウムの結晶の集合体であり、その炭酸カルシウムは一枚一枚たんぱく質のシートで包まれており、それにより真珠層を構成しています。
真珠層は下記の3つの質の異なる色が共存しており、これにより真珠の色の複雑さを表現していると言えます。
◆干渉色
構造に由来して出る光の干渉現象によってみられる色彩
◆実体色
真珠層を構成している炭酸カルシウムの結晶を一枚一枚包んでいるたんぱく質の色
◆下地色
核と真珠層の境界部付近に存在する有機質層によるもの
真珠(パール)に使われる母貝の種類と特徴
真珠は海や川、湖に生息する二枚貝から採れる宝石です。貝の中に異物を入れると、身を守るために貝殻と同じ成分で異物を包み込もうとする特性を利用して作られます。
このとき使われる貝を母貝といいますが、それぞれできる真珠には特徴があります。
◆アコヤ貝
アコヤ真珠は、日本近海に生息するアコヤ貝で育てられる真珠です。一般的に真円で光沢が良く、色は白からクリーム色、ピンクホワイト系までさまざまです。小振りのものが多く、クラシックなジュエリーとして人気があります。
◆南洋白蝶貝
真珠貝のなかでも最も大きく、採れる真珠も大振りで1粒ネックレスにぴったり。ゴールド系イエロー系と華やかなカラーが特徴です。
◆南洋黒蝶貝
赤道に近い暖かい海域に生息し、タヒチ真珠とも呼ばれる。多くはブラック系ですが、グリーン系やブルー系も色に幅があります。
◆マベ貝
母貝の美しさ同様、虹色に輝く真珠が採れる。淡いピンクから赤、青みがかった色まで豊かなカラーバリエーションが楽しめます。
◆淡水貝
中国の川や湖など淡水に生息するヒレイケチョウガイなどの淡水貝からは、小振りでオーバルの真珠が採れます。形やサイズにバリエーションが豊富です。核を使わずに養殖し、1つの貝につき20個~30個作られるのが特徴的です。一般的にはアコヤ真珠よりもリーズナブルですが、その独特な形や色合いで個性的なジュエリーが作られます。
真珠養殖の工程
日本におけるアコヤ養殖真珠の工程は以下の通りです。
- 天然採苗/人工採苗:アコヤ貝の受精
- 仕立て:挿核手術前のショックの緩和
- 挿核手術:核を貝に挿入
- 養生/海事作業:手術後の体力回復
- 浜揚げ:真珠の採取
日本では12月から1月の寒い時期に浜揚げを行います。これは寒い時期であれば真珠に「てり」が出てくるためであると言われています。
真珠(パール)の価値を決めるの5つのポイント
真珠の価値は5つのポイントで決まります。
- 大きさ
- 形
- マキ(真珠層の厚み)
- テリ(光沢)
- キズの有無
母貝の種類によってまず分類されます。粒は大きければ大きいほど、形は真円に近いほど高評価になります(ちなみに丸くなく歪んだ真珠は「バロック真珠」と呼ばれ、同じ形が2つとない独特の形をしているため、これはこれで人気があります)。真珠層に十分な厚みがあるとテリがよくなります。最後にキズの有無をみて真珠の価値が決まります。また、希少性のあるカラーの場合には価格に反映されます。
真珠のネックレスなどのパール製品は、天然物か養殖物かで評価が分かれます。当然天然物の方が評価が高いのですが、天然物と養殖物の見分け方としては、パール同士をこすり合わせたときにザラザラしているというか、抵抗感がある場合は天然物です。逆にツルツルしていて抵抗感がない場合は養殖物です。ただ、天然物であるがゆえパール製品に中古相場は基本的に存在しません。あくまで天然物が販売されるのは新品のみであるとお考え下さい。
真珠のケア方法
真珠は比較的柔らかい宝石で、注意深いケアが必要です。以下は、真珠を長く美しく保つための基本的なケア方法です。
【まとめ】
宝石としての真珠とは、鉱物ではない有機物質から作られているため、とてもデリケートなものです。長く大切に使うためには保存の方法に気をつけ、メンテナンスをしっかりおこなう必要がありますね。
真珠の価値は、一定の基準によって決められますが、母貝の種類によって色や大きさが異なります。真珠の価値を知りたい方はぜひ参考にしてくださいね。