宝石の輝きを損なうアブレージョン
宝石の輝きは、光との相互作用から生まれます。光が宝石の表面に当たると、一部は反射し、一部は内部へと侵入します。宝石の表面を構成する無数の小さな平面、すなわち切子面が、光をさまざまな方向へ反射させることで、きらめきが生み出されます。この切子面は、職人の手によって緻密に計算され、配置されています。光が宝石内部に侵入すると、屈折という現象が起こります。屈折とは、光が異なる物質を通過する際に進行方向が変化する現象です。宝石の種類によって屈折率が異なり、この屈折率の違いが、宝石特有の輝きを生み出す要因の一つとなっています。屈折した光は宝石内部で反射を繰り返し、最終的に再び表面から放出されます。この光の反射と屈折の組み合わせが、複雑で美しい輝きを生み出すのです。