石の強さ:靭性について
石の耐久性を考える上で、硬さだけでなく『ねばり強さ』も重要な要素となります。このねばり強さを『靭性(じんせい)』と呼びます。靭性は、石が衝撃や圧力、曲げといった破壊につながる力を受けた際に、どれほど耐えられるかを示す尺度です。
たとえば、硬い石でもハンマーで叩くと簡単に割れてしまうものがあります。これは硬度は高いものの、靭性が低いことを示しています。逆に、硬さはそれほどでもないのに、ハンマーで叩いても割れにくい石もあります。これは靭性が高いと言えるでしょう。また、石を落とした際に砕け散ってしまうものと、多少欠ける程度で済むものがあります。これも靭性の違いによるものです。
靭性は、石の内部構造や結晶の結びつき方など、様々な要因によって決まります。結晶同士の結びつきが強いほど、衝撃や圧力に対する抵抗力も高くなります。また、内部に欠陥が少ないことも靭性を高める要因となります。不純物や微細な割れ目が多いと、そこから亀裂が入りやすく、衝撃に弱くなってしまうからです。
石の種類によって靭性は大きく異なり、同じ種類の石でも産地や個体差によって靭性が異なる場合もあります。加工のしやすさにも影響するため、宝石を扱う職人や彫刻家は、石の靭性を見極めることを大切にしています。石を選ぶ際には、硬度だけでなく靭性も考慮することで、長く使える丈夫な石を見つけることができるでしょう。