ピロータイト/PYRRHOTITE/磁硫鉄鉱

名前磁硫鉄鉱/PYRRHOTITE/ピロータイト
黄銅色
光沢金属光沢
蛍光なし
劈開なし
断口不規則
硬度3.5-4.5
比重4.6-4.7
主な産地メキシコ、カナダ、ブラジル、ボリビア、オーストラリア、ルーマニア、イタリア、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

コールス先生〜!なんかこの岩、ちょっと錆びたみたいに茶色っぽくて、でも光ってるの!なにこれ〜?

コールス(鉱物採掘士)

ふむ、見せてごらん。……おお、これはピロータイトだね。和名では“磁硫鉄鉱(じりゅうてっこう)”と呼ばれる鉱物だよ。

たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

磁石みたいにくっついた気がするけど、鉄なの?硫黄なの?

コールス(鉱物採掘士)

その両方を含んでいるんだよ。しかもこの鉱物、ちょっとクセが強くて面白いんだ。さあ、じっくり語ろうじゃないか。


目次

第1章:ピロータイトの基本情報

コールス(鉱物採掘士)

ピロータイト(Pyrrhotite)は、鉄(Fe)と硫黄(S)を主成分とする硫化鉱物で、鉄の含有量が不定なために化学式も変動するユニークな鉱物です。

  • 和名:磁硫鉄鉱(じりゅうてっこう)
  • 英名:Pyrrhotite
  • 化学式:Fe(1-x)S(xは0〜0.2程度)
  • 結晶系:単斜晶系または六方晶系
  • 硬度:3.5〜4.5
  • 比重:4.5〜4.6
  • 色:赤銅色〜青銅色〜茶褐色
  • 光沢:金属光沢
  • 磁性:強い磁性を持つ(特に鉄分が多い場合)
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

わ〜、見た目は地味だけど、磁石にくっつくって楽しい〜!

コールス(鉱物採掘士)

まさにそれがピロータイトの特徴のひとつ。磁性鉱物の中でも珍しい性質を持っているんだ。


第2章:化学構造と磁性の不思議

コールス(鉱物採掘士)

ピロータイトの最大の特徴は、鉄の含有量が不定であるという点です。完全なFeS(トロイライト)とは違い、Feが一部欠けていることで不規則な結晶構造になります。この欠損構造によって、

  • 強磁性や弱磁性のバリエーションが生じる
  • 鉱石ごとに磁性の強弱が異なる
コールス(鉱物採掘士)

という不思議な性質を持ちます。さらに、以下の点が非常に興味深いです。

  • トロイライト(FeS)とは同系統の鉱物だが磁性を持たない
  • ピロータイトは明確な磁性を持つ
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

鉄が“少し足りない”と、磁石にくっつくようになるなんて…自然って不思議!

コールス(鉱物採掘士)

まさに。鉱物界では、“欠けているからこそ生まれる性質”というのがあるんだよ。


第3章:産出と地質的な背景

コールス(鉱物採掘士)

ピロータイトは主に、以下のような地質環境に見られます:

  • 火成岩中(特に超苦鉄質岩)
  • 接触変成帯や熱水鉱脈
  • ニッケル鉱床(ペントランド鉱やカルコパイライトと共生)

主な産地:

  • カナダ(サドベリー)
  • ロシア(ノリリスク)
  • ノルウェー
  • 南アフリカ
  • 日本(秋田県の小坂鉱山、福島県の会津鉱山など)
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

日本でも採れるんだ〜!あの“鉱山跡”ってところ、実はすごいのかもね!

コールス(鉱物採掘士)

そうとも。ピロータイトはニッケル鉱床の伴生鉱物として重要だから、資源探査でも注目されているよ。


第4章:ピロータイトの用途と現代的な意味

コールス(鉱物採掘士)

ピロータイト自体は鉄の原料として直接用いられることは少なく、資源探査の指標鉱物としての役割が中心です。しかし、以下のような応用例も注目されています:

  • 地磁気探査の研究資料
  • 宇宙鉱物学での研究(隕石中にもピロータイトが確認されている)
  • 金属鉱床の形成過程の理解に貢献
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

宇宙にもあるの!?宇宙の鉄って…ピロータイトかも?

コールス(鉱物採掘士)

そう、隕石の中のピロータイトはトロイライトに近いけれど、磁性がある場合は“地球型”のピロータイトと呼ばれることもあるんだ。


第5章:酸化による変化と保存の注意

コールス(鉱物採掘士)

ピロータイトは空気中に長期間さらされると、酸化により鉄が赤錆(褐鉄鉱)に変化しやすく、見た目が劣化してしまうことがあります。

保存のコツ:

  • 湿度を避け、乾燥剤と共に保存
  • 表面が酸化してきたら軽くブラッシング
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

確かにちょっと“錆びてる”ように見えるのもあった!

コールス(鉱物採掘士)

標本として保管するなら、密閉容器に入れるのがベストだね。


第6章:ピロータイトとトロイライトの違い

項目ピロータイトトロイライト
化学式Fe(1-x)SFeS
磁性あり(強弱あり)なし
産出環境地球上・隕石両方主に隕石中
見た目茶褐色〜赤銅色灰色っぽい金属色
構造鉄が欠けた構造完全なFeS構造
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

名前が似てるけど、中身はけっこう違うんだね〜!

コールス(鉱物採掘士)

だからこそ混同されやすいんだけど、磁性の有無と化学構造が大きな区別点だよ。


エピローグ:地味だけど、磁性で光る

たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

最初は地味だと思ったけど、磁石にくっついてびっくりだったし、化学的にも奥が深かったな〜!

コールス(鉱物採掘士)

外見じゃわからない魅力、まさに鉱物界の“隠れたスター”だね。

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たまちゃんとたむの鉱物・宝石一番星★

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