




名前 | ジプサム/GYPSUM/石膏 |
色 | 無色、白色、褐色、灰色、赤色等 |
光沢 | ガラス光沢、真珠光沢 |
蛍光 | 緑色 |
劈開 | 完全 |
断口 | 不平坦 |
硬度 | 2 |
比重 | 2.3 |
主な産地 | アメリカ、メキシコ、チリ、イタリア、フランス、カナダ、イギリス |

コールス先生~!この白い粉、触るとサラサラしてて、なんか工作で使った覚えあるんだけど…鉱物なの?



ふふ、それは“ジプサム”、日本語では“石膏(せっこう)”と呼ばれている鉱物だよ。



えー!?鉱物って硬いイメージだけど、こんな粉になるの!?



ジプサムはね、“柔らかい鉱物”の代表格。でもね、見た目以上に地球の歴史や暮らしに深く関わってる鉱物なんだ。
1章:ジプサムとは? 〜石膏の基本情報〜



ジプサム(Gypsum)は、硫酸カルシウム(CaSO₄)に2つの水分子を含んだ鉱物で、化学式は CaSO₄·2H₂O。
これは“含水鉱物”に分類され、水と強く結びついた状態で存在しています。
🔹 基本データ
項目 | 内容 |
---|---|
和名 | 石膏(せっこう) |
英名 | Gypsum(ジプサム) |
化学式 | CaSO₄·2H₂O |
結晶系 | 単斜晶系 |
モース硬度 | 2(非常に柔らかい) |
比重 | 約2.3 |
条痕 | 白色 |
劈開 | 完全(1方向に割れやすい) |
色 | 白、灰白、無色、淡黄色など |
光沢 | 真珠光沢〜ガラス光沢 |



硬度2って……チョークより柔らかいんじゃない?



そうだね。爪で簡単に傷がつくくらい柔らかいから、扱いやすいし加工もしやすいんだ。
2章:ジプサムの名前の由来と分類



「ジプサム」という名前はギリシャ語の「gypsos(石膏)」に由来しています。日本語の“石膏”という漢字も、「石の粉(膏薬)」に使われたことが起源です。
🔸 ジプサムの仲間たち



ジプサムにはいくつかの変種があります:
- ファイバー・ジプサム:細長い針状結晶
- セレナイト:透明で美しい結晶。光を通すため「月の石」とも呼ばれる
- アラバスター:細かい粒でできた白色の塊状。彫刻に利用される
- 砂漠のバラ(デザートローズ):砂と混じり合ってバラの形になる



同じ石膏でも見た目全然ちがう!セレナイトってキレイ!月の石だなんてロマンチック〜♡



見た目だけじゃなく、成り立ちや用途も異なるんだ。だから“ジプサム”は実はとってもバラエティ豊かな鉱物なんだよ。


3章:どうやってできるの?~蒸発と沈殿の鉱物~



ジプサムは主に蒸発岩(evaporite)として形成されます。これは海や湖の水が乾いていき、溶けていた鉱物が結晶化することで生まれるもの。
🔥 でき方のステップ
- 海水や塩湖の水がどんどん蒸発
- 濃縮されてきたミネラルが結晶化
- 最初に石膏(ジプサム)が沈殿
- さらに濃くなるとハロゲン鉱物や岩塩ができる



えっ、じゃあ水が乾いてできた石ってこと!?



そう。ジプサムは“干上がった海の記憶”が詰まった鉱物なんだよ。
4章:どこで採れるの?産地の紹介



ジプサムは世界中の乾燥地帯、あるいは古代の海底地層などから産出します。
地域 | 特徴 |
---|---|
アメリカ(ユタ州、オクラホマ州など) | 大規模な採掘が行われている |
メキシコ(チワワ州) | ナイカ鉱山の巨大セレナイト結晶で有名 |
中国(河北省など) | セメント・工業用途の大産地 |
イタリア・スペイン・ドイツなど | 美術用アラバスターの原料 |
日本(秋田県、群馬県、岡山県など) | 一部地域で採掘されるが規模は小さい |



ナイカ鉱山って、あの巨大な結晶の洞窟があるところ!?



そう!世界最大級のセレナイト結晶が見つかった場所だね。自然が生んだ“光の宮殿”とも呼ばれているよ。
5章:暮らしの中のジプサム



ジプサムは実は超身近な鉱物。見えないところで大活躍しています。
🛠️ 用途の例
- 石膏ボード(住宅の壁・天井材)
- 医療用ギプス
- 彫刻・造形素材(アラバスター)
- 肥料(カルシウム・硫黄供給)
- セメントの凝結調整剤
- チョーク(学校で使用)
- 金型材料・鋳造補助材



えぇー!?家の壁ってジプサムでできてるの!?



そう、石膏ボードはジプサムを板状に固めた建材。耐火性があるから火事にも強いんだ。
6章:加工・取り扱いのポイント



ジプサムは加工しやすく、彫刻や造形にも重宝されます。特にアラバスターはルネサンス期から美術品として使われてきました。
🧊 加工時の注意点
- 脆いため取り扱い注意
- 湿気を吸いやすい → 湿度管理必須
- 焼くと無水石膏(焼石膏)になる



焼いたらどうなるの?



結晶水が抜けて“焼石膏”になる。これに水を混ぜるとすぐ固まるから、ギプスや型取りに使われるんだよ。
7章:ジプサムの鉱物学的魅力



見た目は地味でも、鉱物としてのジプサムは光・形・結晶構造などに注目することでとても奥深いです。
- 単結晶のセレナイトは光ファイバーのような透明度
- “ツイン結晶”や“矢じり状”など変わった形も多い
- 水に溶けやすい → 自然の“やさしい鉱物”
- 成長が速いため、大きな結晶になることがある



やわらかいのに魅力的!癒し系鉱物って感じ~



実際、ジプサムのエネルギーは“安定と浄化”とされていて、ヒーリングにも用いられることがあるよ。
8章:ジプサムの未来と私たち



現代社会では建材・医療・農業・環境分野などに不可欠な存在として活躍するジプサム。しかし、採掘と使用には以下の課題もあります:
- 資源の偏在(特定の国に集中)
- 湿気による劣化
- リサイクル技術の必要性



じゃあ、これからは“どう使うか”も大事なんだね。



そう。鉱物を知ることは、地球とのつながり方を考えることでもあるんだよ。
🎇まとめ:地球のやさしさ、ジプサム



ジプサムは、硬いだけが鉱物じゃないことを教えてくれる鉱物です。“やわらかい”からこそ生まれる可能性、“儚い”からこそ感じる尊さ。そして、私たちの暮らしの基盤を静かに支える“縁の下の力持ち”。



今日の主役は見た目じゃない!やさしさと多様性のかたまりだった〜!



鉱物って、硬さじゃないんだよ。“どう生きるか”なんだ。



哲学そのもの!



