

名前 | 針鉄鉱/GOETHITE/ゲーサイト |
色 | 黒色、黄褐色、黒褐色 |
光沢 | ダイヤモンド光沢 |
蛍光 | なし |
劈開 | 一方向に完全 |
断口 | 貝殻状、凹凸状 |
硬度 | 5-5.5 |
比重 | 3.3-4.3 |
主な産地 | アメリカ、イギリス、メキシコ、イタリア、モロッコ |

ねぇコールス先生、今日もチャッピーな気分で行こうよ!気になってる鉱物があるんだ〜!



お、今日は何に興味を持ったのかな?



名前がなんかドイツっぽい、“ゲーサイト”ってやつ!カタカナにするとちょっとかわいいよね♪



いいところに目をつけたね。ゲーサイト(Goethite)は、あの文豪ゲーテの名前にちなんで名づけられた鉄鉱物だよ。
第1章:ゲーサイトの基本情報



ゲーサイト(Goethite)は、鉄の酸化鉱物で、針状または放射状に結晶する黒〜褐色の鉱物です。鉄の主な鉱石のひとつとして古くから知られており、見た目は地味ながらその性質と形成メカニズムには奥深さがあります。
- 和名:針鉄鉱(しんてっこう)
- 英名:Goethite(ゲーサイト)
- 化学式:FeO(OH)
- 結晶系:斜方晶系
- 色:黒褐色〜黄褐色
- 硬度:5〜5.5
- 光沢:金属光沢、絹糸光沢
- 劈開:不明瞭



“針鉄鉱”ってことは針みたいな形してるの?



まさにその通り。針状結晶が集まってできる放射状構造や、地衣状・塊状の形態も見られるよ。
第2章:名前の由来と歴史的背景



ゲーサイトの名は、ドイツの詩人で哲学者でもあった**ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)**に由来します。
- 名称付与:1806年ごろ
- ゲーテは自然科学にも強い興味を持ち、鉱物学にも一定の貢献をしていた



え〜っ、あのゲーテが鉱物と関係あるの!?



そうなんだ。詩人でありながら地質や鉱物の研究にも熱心だった人物なんだよ。
第3章:生成環境と鉱床



ゲーサイトは酸化鉄鉱床の主要構成鉱物のひとつであり、鉄鉱石の酸化によって生じます。
- 風化作用によって他の鉄鉱物(マグネタイトやパイライトなど)が酸化して形成
- 沼地や湿地、帯水層付近など、水分の多い場所でも生成
- 二次鉱物として他の鉱物の変質により生成されることも



鉄がサビてできる石ってこと?



たとえばそういう理解でもOK。地表近くで酸素と水にさらされることで、鉄が酸化しゲーサイトに変わるんだ。
第4章:産地とその特徴
- 世界的な産地:アメリカ(ミズーリ州)、オーストラリア、ブラジル、中国
- 日本国内:岡山県の柵原鉱山、秋田県の尾去沢鉱山など



特にブラジルやオーストラリアの鉄鉱床では、鉄分の高いゲーサイトが大量に存在しており、工業的にも重要です。



オーストラリアといえば、コールス先生のふるさとだ!



そうだよ。ぼくの生まれた場所にも、見事なゲーサイト鉱脈があるよ。
第5章:観察ポイントと標本としての魅力
- 結晶の美しさ:放射状構造や“ローズ型”の結晶はコレクターに人気
- 光沢:一部の標本は金属的な輝きを放つ
- 地衣状ゲーサイト:表面にビロードのような質感を持つものも



なんかカッコイイ!地味なのに近くで見るとすごく細かくて綺麗〜



鉱物は“ミクロの世界”が本当に美しいんだ。ルーペを持って観察するのがオススメだよ。
第6章:現代での利用と可能性
- 鉄の供給源としての工業的価値
- 環境モニタリング:水中の鉄分濃度や酸化反応の指標として
- 鉄の同位体を使った地球科学研究の素材として



へ〜、見た目より実用的なんだ!



ゲーサイトは鉱物としても研究材料としても重要。見た目と実力のギャップがある鉱物だね。
第7章:石黄と混同しやすい!?識別ポイント



ゲーサイトは時に、色味や見た目の似た石黄(オーピメント)と混同されることがありますが、識別は可能です:
特徴 | ゲーサイト(針鉄鉱) | 石黄(オーピメント) |
---|---|---|
色 | 黒褐色〜黄褐色 | 明るい黄色〜橙黄色 |
化学式 | FeO(OH) | As₂S₃(ヒ素を含む) |
硬度 | 5〜5.5 | 1.5〜2 |
毒性 | 無毒 | 有毒(ヒ素含有) |



石黄って毒があるんだったね。見た目が似てても油断禁物〜



その通り。鉱物観察は安全性にも気を配ることが大切なんだ。
エピローグ:ゲーサイトとチャッピーな夕暮れ



う〜ん、ゲーサイトって名前のわりにすごく地味だけど、知れば知るほど味がある鉱物だね〜!



鉱物界には“実直派”もたくさんいるんだ。ゲーサイトはその代表だね。



