アラバスター(雪花石膏)の世界へようこそ  ~彫刻に愛された白い鉱物~

名前アラバスター/ALABASTER/雪花石膏
白色、茶色、オレンジ色、褐色、灰色等
光沢ガラス光沢、絹糸光沢
蛍光明るい青色、オレンジ色
劈開明瞭
断口不平坦
硬度2
比重2.7
主な産地イタリア、フランス、ロシア、オーストリア、アルジェリア、アメリカ、メキシコ、アルゼンチン
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

ねえコールス先生!この彫刻、すごくなめらかでミルクみたいな石!これって大理石じゃないの?

コールス(鉱物採掘士)

いい質問だね。それは“アラバスター”と呼ばれる鉱物で、実は大理石とは別物なんだ。

たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

えっ!? アラバスターって名前は聞いたことあるけど、石膏の仲間なの?

コールス(鉱物採掘士)

そう、“雪花石膏(せっかせっこう)”とも呼ばれる、やわらかくて加工しやすい鉱物だよ。さあ、じっくり探っていこうか!


目次

1章:アラバスターとは?

コールス(鉱物採掘士)

アラバスター(Alabaster)は、細粒状の石膏(CaSO₄·2H₂O)で構成された鉱物。美しい乳白色の外観と柔らかな質感が特徴で、古くから彫刻や工芸品の素材として愛されてきました。

🔹 基本データ(雪花石膏)

項目内容
和名雪花石膏(せっかせっこう)
英名Alabaster(アラバスター)
化学式CaSO₄·2H₂O(含水硫酸カルシウム)
結晶系単斜晶系(微細結晶が集まって塊状)
モース硬度1.5〜2(非常にやわらかい)
比重約2.3
乳白色、象牙色、淡黄、淡ピンクなど
劈開なし(塊状)
条痕白色
光沢絹糸光沢、蝋状光沢
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

モース硬度が2って……鉛筆より柔らかいじゃん!

コールス(鉱物採掘士)

そう。だからナイフや彫刻刀で簡単に削れるんだよ。だからこそ芸術に重宝されてきたんだ。


2章:名前の由来と“2つのアラバスター”

「アラバスター」という名前には、実は2種類の鉱物が混ざっています:

  1. 雪花石膏(ジプサム系):現代で“アラバスター”と呼ばれるものの主流
  2. 方解石系アラバスター(カルサイト系):古代エジプトやローマで使われた

🔸 アラバスターの語源

  • ギリシャ語「alabastros」=小瓶・香油瓶を意味する器の素材
  • 古代では香油を保存するために加工しやすい石が使われた
  • 後に石の名前が「アラバスター」として定着
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

つまり今のアラバスターは石膏製だけど、昔は方解石だったってこと?

コールス(鉱物採掘士)

そういうこと。見た目は似てるけど、構造も性質もまったく違う鉱物なんだ。


3章:どこで採れるの?アラバスターの産地

コールス(鉱物採掘士)

アラバスターは世界中で産出されますが、特に美術・彫刻用として有名な産地はこちら!

地域特徴
イタリア(ヴォルテッラ)芸術作品向けに加工される伝統ある産地
エジプト古代から使われたアラバスターのふるさと
スペイン建築や彫刻用の白く美しい塊状石膏を産出
イギリス産業用・工芸用の採掘が盛ん
アメリカ建材・彫刻・石膏像の素材に
日本(北海道、秋田県など)雪花石膏として一部採掘
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

芸術の本場イタリアにピッタリの鉱物だね〜!

コールス(鉱物採掘士)

イタリアの“ヴォルテッラ”では、今でもアラバスター彫刻の伝統が生きているよ。


4章:芸術とアラバスターの歴史

🏛️ 古代から現代までの使用例

  • 古代エジプト:香油壺、石棺、ミイラ容器
  • ローマ時代:柱や祭壇、彫像など
  • 中世ヨーロッパ:キリスト教の聖像、レリーフ
  • 近現代:彫刻作品、ランプ、装飾パネル

✨ 現代彫刻でも大活躍

  • 柔らかい=繊細な表現が可能
  • 光を通す=幻想的な仕上がりに
  • 白系だけでなく、ピンク・黄なども人気
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

たしかにランプとかに使われてると、あたたか〜い光になるよね。

コールス(鉱物採掘士)

“光が透ける鉱物”って実はかなり少ない。アラバスターはその特別な存在なんだ。


5章:彫刻素材としての性質と魅力

コールス(鉱物採掘士)

アラバスターの魅力は以下の通り:

  • 手工具でも簡単に彫れる
  • 滑らかな質感と高い研磨性
  • 着色しやすい
  • 光を透過する
  • 柔らかくて安全、こどもや初心者にも使いやすい

🧰 加工時の注意点

  • 脆いので欠けやすい
  • 水に弱く、吸湿性がある
  • 溶剤や酸に注意(長期保存時は密閉)
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

なるほど!扱いやすい反面、繊細にしないと割れちゃうんだね。

コールス(鉱物採掘士)

そう、まさに“扱う人の心を映す石”。アラバスターは、やさしさと注意深さが試されるんだ。


6章:雪花石膏とその仲間たち

アラバスターはジプサム(石膏)の一種。以下のバリエーションも含まれます:

名称特徴
セレナイト透明で光を通す石膏、結晶質
サテンスパー繊維状の石膏、絹のような光沢
デザートローズ砂と混じって形成されるバラ形石膏
アラバスター白色の微細結晶が塊状になった“加工用”石膏
たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

わ~石膏ファミリーって、ぜんぶ個性派だね!

コールス(鉱物採掘士)

そう、柔らかくて多様。それが石膏グループの魅力さ。


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7章:現代社会とアラバスター

コールス(鉱物採掘士)

現代では以下の用途でも注目されています:

  • 室内装飾(パネル、置物、ランプ)
  • 美術教育(彫刻入門に)
  • セラピー素材(触感の癒し)
  • コスメ業界の模造ラメとしても研究中!?
コールス(鉱物採掘士)

また、アラバスター彫刻の保存・修復も大きな課題で、博物館などでは湿度管理が重要です。

たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

なるほど。見た目の美しさだけじゃなくて、環境との相性も考えないとダメなんだね。

コールス(鉱物採掘士)

鉱物も人と同じ。“環境が大事”ってことだね。


🎇まとめ:アラバスター、それは“やわらかい芸術鉱物”

コールス(鉱物採掘士)

アラバスターは、単なる素材ではありません。その柔らかさは、表現の自由さその白さは、あらゆる色を受け入れるキャンバス。人の手と心に寄り添う鉱物――それがアラバスターです。

たむ(鉱物・宝石大好きっ子)

今日の石はなんか優しかったなぁ。硬いだけが鉱物じゃないって思ったよ。

コールス(鉱物採掘士)

“やわらかさの中に、強さがある”。それはアラバスターが教えてくれるメッセージだよ。

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鉱物・宝石辞典
たまちゃんとたむの鉱物・宝石一番星★

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