名前 | ヘマタイト/HEMATITE/赤鉄鉱 |
色 | 赤色、赤褐色、黒色 |
光沢 | 金属光沢、土状光沢 |
蛍光 | なし |
劈開 | なし |
断口 | 不規則、貝殻状 |
硬度 | 5-6 |
比重 | 5.3 |
主な産地 | イタリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、ベネズエラ、スイス、イギリス、ドイツ |
概要
ヘマタイト(Hematite)は、鉄を主成分とする鉱鉱で、化学式は Fe2O3\text{Fe}_2\text{O}_3Fe2O3 です。その名はギリシャ語の「haima」(血)に由来し、鮮やかな赤褐色が血液の色に似ていることから名付けられました。ヘマタイトは、特にその美しい色合いや多用途な特性から、鉱鉱学、宝石学、さらには工業分野でも重要な鉱物です。
特徴と構造
ヘマタイトの主な特徴は以下の通りです:
- 色: ヘマタイトは通常、赤褐色から暗褐色、黒色を呈します。酸化鉄(III)による赤褐色が特徴的で、光沢のある金属的な光沢を持っています。
- 結晶構造: ヘマタイトは、六方晶系または三方晶系の結晶系に属し、しばしば針状や板状の結晶を形成します。結晶は一般的に密に結合しており、しばしば塊状や細粒状で見られます。
- 硬度: モース硬度は5.5〜6.5で、比較的中程度の硬さを持ちます。
- 比重: 高い比重(5.2〜5.3)を持ち、鉄分が多いため非常に重いです。
ヘマタイトの色や光沢は、その鉄分の酸化状態や結晶の形状によって異なることがあります。ヘマタイトは、鉄鉱石の中でも特に酸化鉄(III)を含み、赤褐色の粉末を作ることで知られています。
形成と産地
ヘマタイトは、主に以下のような環境で形成されます:
- 鉄鉱床: ヘマタイトは鉄鉱床で見られ、しばしば他の鉄鉱鉱と共に存在します。主に変成岩や堆積岩の中で見られます。
- 酸化鉱床: 鉄鉱石が酸化する過程で形成されることがあり、特に酸化鉄鉱床で豊富に見られます。
主要な産地としては以下の場所があります:
- オーストラリア: オーストラリアのマウントアイザ鉱鉱などで、大量のヘマタイト鉱石が採掘されています。オーストラリアは世界最大のヘマタイト生産国です。
- ブラジル: ブラジルの鉄鉱床でもヘマタイトが豊富で、特にミナスジェライス州で採掘されています。
- 南アフリカ: 南アフリカの鉱鉱地域でもヘマタイトが見つかり、鉄鉱石として重要な供給源となっています。
- カナダ: カナダでもヘマタイト鉱床があり、鉱鉱業が盛んな地域です。
用途と価値
ヘマタイトは、その特性からさまざまな用途があります。主な用途には以下のものがあります:
- 鉄鉱石: ヘマタイトは主要な鉄鉱石として、鉄鋼業で利用されます。鉄鉱石の主要な供給源として、鉄の製造に欠かせない原料です。
- 宝石: ヘマタイトの美しい色合いと光沢から、ジュエリーや装飾品として加工されることがあります。特にビーズやペンダントなどの装飾品として人気です。
- 顔料: ヘマタイトの赤褐色の粉末は、顔料や塗料として使用されることがあります。特に赤色の顔料として、絵画や化粧品に利用されます。
- 磁性材料: ヘマタイトは、弱い磁性を持ち、磁気的特性を利用して一部の磁気材料やアクセサリーとして利用されることがあります。
ヘマタイトの価格は、その品質や用途によって変動しますが、鉄鉱石としての需要が高いため、工業的には非常に重要な鉱鉱です。宝石としてのヘマタイトは、その美しさから比較的高価で取引されることがあります。
結論
ヘマタイトは、その美しい赤褐色と鉄鉱石としての重要性から、鉱鉱学や工業、宝石学において非常に価値の高い鉱物です。鉄の供給源としての役割だけでなく、その美しい外観や多様な利用方法により、ヘマタイトは幅広い分野で重宝されています。ヘマタイトの特性と用途について理解を深めることで、その重要性と魅力がよりよく理解できるでしょう。