渡来銭とは、昔の中国で使われていた貨幣を平安時代から室町時代にかけて輸入された貨幣のことを言います。写真の「開元通宝」は621年に発行された貨幣とされていますが、その頃の中国は「唐」です。日本から派遣されたのが「遣唐使」です。遣唐使が持ち帰ったのが「開元通宝」です。
その後、北宋、南宋、明などと時代の流れとともに国家が変動していくのですが、寛文10年(1670年)に江戸幕府により渡来銭使用禁止令が発令され、渡来銭を日本国内の通貨として使用することは禁止されました。しかし、長崎などの貿易地では中国から支払代金に紛れて輸入され、引き続き使用されていたそうです。明治政府になると、渡来銭や輸入銭の一部を「一厘」として使用が認められ、昭和初期に至るまで使用されたそうです。
古銭は歴史に密接しています。しかも、日本ではなく中国から大昔に渡ってきたものであることを考えると感慨深いものがあります。買取の際、古銭を持ち込まれる方は2種類に大別されます。1つは古銭のコレクターで、自分で古銭の専門店で購入された方。もう一つは先祖代々から受け継がれ、元々家にあったものを持ち込まれる方。状態がいいものは決して多くはないものの、歴史を感じられる価値のあるものには変わりません。